007 忍者Tが好き(後編)

(↓前編からの続きです)

006 忍者Tが好き(前編) - やなせ京ノ介の好きなことを好きなだけ話すブログ

 

意図せず脱邦人(後編)

 

3.

 3年前ぐらいに、キモノ・スシ・キョート(金閣寺)・フジサンなどの刺繍絵にラメッラメの文字で「日本 -JAPAN-」と書いてある胡散臭い掛け軸を買った。大型家電量販店にそういうものがあることが意外だった。

部屋のインテリアでトイレの、のれん代わりになるものを探していたのでおあつらえ向きだったというのもあるし、何よりデザインが気に入った。その頃も茶髪で長髪のパーマに服装もさほど変わらずだった。

 

 そのままレジに持っていったところ、自分が持っていった色の掛け軸の在庫がないらしい。

対応をしてくれた店員さんが、「Please wait a moment.」と言い残しバックヤードにはけて行った。

「もう異邦人だと思われてんな~」と気づきながらも訂正する間もなく、言われるがままに数分待っていた。

恐らく責任者的な人が裏から出てきて、僕に「If there is a difference in color there is stock.(色違いなら在庫があります)」的なことを言った。(児童英検3級しか持っていないのではっきり聞き取れていないし、これもgoogleの翻訳)

 

 「完全に異邦人だと思われてるし、申し訳ないから相手の気持ちも汲んでこのまま異邦人的に終わっていこうかな」と思い、

「これハ、色だけが違いマスか」みたいな、来日から2年半の外人ぐらいの片言で返した。

 店員さんが、なんて言えばいいんだろう…どの程度の英語で…みたいな困った顔をしたので良心の呵責に耐えかねて「すいません、日本人です」と言った。

純日本人でこれを買う人がいるとは一切想定されていなかったようで、面を食らった顔をされた一秒後に、苦虫を15匹ミキサーで噛み潰して人肌に暖めてから内耳に流し込んだような顔で睨まれてしまった。「言えよ!」ってことだと思う。何故あんな判断をしたのか、自分でもそう思う。もしくは「東南アジア系の顔にわざわざ寄せたような風貌をして、東南アジア系の人みたいなものを買うな」ということか。

 結局そのまま買い物をしたが、結局掛け軸は使わずこの前の引っ越しのときに捨ててしまった。片言損だった。

 

4.

 この夏、ハロープロジェクトのコンサートで名古屋に行った。

今年は20周年ということで、それぞれの公演にOGのゲストが登場し数曲披露するコーナーがあり、名古屋では元Berryz工房熊井ちゃんと元℃-ute矢島舞美が登場する日だったので、それを見たいがためにバスで訪れた。

ライブ自体最高に感動して、翌日は大須商店街とかを観光する日に宛てた。

 

 酷暑と言われていた今年、名古屋は東京よりも暑い日が多く、その日も38℃の予報だった。年長さんの体温だったら保育所を休ませている。

直射日光がすごく、柄にもなくグラサンをかけながら街を散策していた。(このグラサンは2015年のライジング(北海道のフェス)でどこかに落ちてたのを拾ったものを更にもらったやつ。いまだに使ってるのは貧乏性だからか)

 

 寒さのほうが嫌いで、暑さには比較的強い方だし、むしろ飲み物やアイスが美味しくなるからある程度の暑さ賛成派なのだが、この暑さには参ってしまった。

体力的にきつくなったので、途中で老舗のお茶屋さんがやっているお店で、かき氷を食べた。

 今まで、甘いものに500円以上払えない・500円以上はご飯というポリシーを貫いて来ていて、抹茶ミルクのかき氷に780円を払うのはかなり悔しかった。かなり断腸の思いでそのかき氷を注文した。

 

 出て来たのは、大技林ぐらいのサイズにこんもり盛られた氷の山。そこに綺麗な深緑の抹茶が大量にかかっている。

一口食ってみるとフワフワでめちゃくちゃ美味い。国連加盟国with俺で結んだ「500円以上はご飯」協定のせいで、こういう本格的なかき氷は一度も食べたことがなかった。こんなに美味くて生き返る思いがするなんて…

そして、まだ食べたことのないこんなに美味いものが世の中にあることに感動したし、自分の思っているポリシーなんて本当に小さいので、国連から俺国は脱退し、この悪しき協定についても今後バンバン破っていこうと決めた。

 

 食べ進めながら「最近思うんだけどさあ、この抹茶ミルク味のかき氷もそうだし、納豆とかお味噌汁とか日本の食べ物って段違いに深みがあって本当に美味しいし、加えて体温下げたりだとか、整腸作用があったりで体の調子まで整えてくれるって本当にありがたいよね…日本って最高だわ。日本人で良かったわ」としみじみ語った。

そこで「今”NINJA”って書いてあるTシャツ着てるし、強めのパーマでしかもグラサンまでかけて日本人に見えない」ということを指摘された。改めて自分の姿を見て、全く日本人じゃないし、日本文化勉強中で日本人以上に感動している訪日外国人にしか見えなかった。

 奇しくも前日名古屋で順平さんと遊んでいた。順平さんと遊んだ時は脱邦人となりやすいのかも知れない。

 

 夏が終わってもまだ忍者Tはローテーションの一角を担っている。来年の夏もきっと着ているだろう。

 

<完>