023 爆笑問題が好き

『「Myベスト爆笑問題」は』

 

1.

 爆笑問題が好きだ。

 自分が爆笑問題を知ったのは、90年代後半のボキャブラブームの頃で、その小学生当時は爆笑問題がとりわけ好きというわけではなかったが、ボキャブラ天国に毎週芸人がたくさん出てきてワイワイしている感じが好きだったので毎週楽しみに見ていた。

 父親が日専連カードの特典かなにかで当てた、ボキャブラ芸人の営業ライブで隣町に行き、フォークダンスDE成子坂や底抜けAIR-LINEやU-turnを見たこともあった。故人・引退された方もいるコンビばかりなので今となっては貴重な経験である。

自分が見たライブには居なかったが、当時ボキャブラ芸人の中でも爆笑問題は異彩を放っていて、番組に出てきた時の天才的なオーラと、外さないで毎週バシッと笑いを取る感じがめちゃくちゃ格好良かった。子供ながらに別格さを感じていた。

 

 ボキャブラが終わった後、2000年ぐらいにマガジンに掲載されていた『爆笑問題のきょうのジョー』という、「何月何日にどういう出来事があった」ということを取り上げて、それについてトークをする連載を見て爆笑問題を本格的に好きになった。

漫画雑誌に掲載されてはいたが、漫画の形式ではなくインタビュー記事のように、主に文字と1コマ漫画の挿絵だけで構成されていて、単行本は4巻までしか出ていないが結構なボリュームだった。

 

 このトーク太田光のひらめき&ダジャレ満載の発言と、田中裕二の紙面から声が聞こえてきそうなツッコミは少なからず今でも自分の喋ることに影響を与えているように思う。時々わずかながら哲学的なことを語る回もあって、小学生の脳で何とか理解しようとしていた。

 

 トークでは「太田」「田中」の他にマガジン編集者の人が、「マガ」として出てきて合いの手を入れるのだが、当初はなるべく聞き役に徹しようとしていた「マガ」さんが、連載後期には3人目のメンバーのように喋りまくっていて紙面にも発言が登場しまくるのが印象的だった。

 「マガ」さんは田中裕二と同じく野球が大好きで、毎年真剣にドキドキしながらドラフトを見ていると書いていた。それは「自分の贔屓の球団にいい選手が入るか」、という一般的なものではなく、当時35歳ぐらいだったと思うが「自分が指名されているんじゃないか」という観点だった。

爆笑問題の二人に「球団の人に何も言われてないでしょ?」とツッコまれていたが、本人は「サプライズ指名があるかも知れませんから」、「40までは諦めていない」と大真面目に語って、変人二人の爆笑問題から呆れられていたのが面白かった。

 

 また、上述した「紙面から声が聞こえてきそう」な編集は、他でもない「マガ」さんによるもので、太田のボケに対して田中が「アハハハハハ」と笑うところも活字で書かれているし、

連載後期には、トークの途中の行で「田中:ちょっとオシッコ。(ここで田中、トイレに行く)」と書いうことまで書いて、その後のマガさんと太田さん二人の合間のトークも収録したり、

本題からそれて「田中:あっ、ミニモだ!(太田の飼い猫が部屋に入ってきて田中の膝の上に乗る)」とそこから猫トークになったり、田中がミニモをあやしている様子も活字で書かれていて、声が聞こえてくるどころか一緒に部屋に居てトークを聞いているような感覚が楽しかった。

 現在まで続いているラジオ好きも、きょうのジョーのそういった空気が好きだったことが多少なりともきっかけになっているかもしれない。

 

2.

 きょうのジョーと並行して、当時ポンキッキーズでやっていた爆チュー問題もベタに好きだった。

子供向け番組で、ストーリーや設定もそれに倣っているが、時々親世代にしかわからないネタだったり普通に漫才で言ってるのと同じようなボケをアドリブで入れてくるのが面白かった。

お笑いをほとんど見ずむしろ嫌っていたうちの父親も、爆チュー問題だけは日曜の朝にやっていると楽しみに見ていたのが異様だった。

 

 札幌テレビで制作され2002年まで深夜にやっていた『号外!!爆笑大問題』シリーズも好きだった。

内容としてはニュースを扱っていて、アカデミックな印象で正直理解していなかったと思うが、子供ながらに「大人たちの会話に入れてもらっている」という気持ちになって、なにか愉快だった。

 

 当時お笑いのネタ番組は、のべつ幕なしに見ていて、ネタ番組はなるべく調べて録画(VHSで3倍モードで)していたので、爆笑問題が司会の時期の『笑いがいちばん』も好きだった。時々披露する漫才やコントも全部面白かった。

 

 そこからしばらく爆笑問題を意識して見ることはなくなったが、2010年あたりから、ラジオ『爆笑問題カーボーイ』のリスナーになった。

太田光が、リスナーからのメールを感情や声色豊かに読むのが本当に楽しくて聞きまくっていた。田中裕二の変人っぷりもラジオだとわかるのが楽しい。

当時はまだTBSラジオPodcastが、過去の放送分すべてアーカイブとして聞ける状態で残っていて、2007年からのpodcastを全て聞いた。

 

 その中で「人妻枠」という、世の中の人妻はどのような生活をしているのか?を調べるために、人妻限定でメールを送ってもらうというコーナーがあった。

ラジオネーム“しおふきんちゃん”という、カーボーイリスナー的には今でもレジェンドの人妻リスナーが居て、その人が街に出向いては見知らぬ男とセックスをしまくる(あるいは昔にしまくった)経験談を、太田さんが感情豊かに読むのがめちゃくちゃ面白かったしエロかった。

 人妻枠が終わってからもしばらく、2014年ぐらいまで毎週聞いていて、今では毎週聞いているわけではないが、たまに思い出しては最近の回聞いている。

いつ聞いても変わらないノリがいいし、やっぱり太田さんのメール読みは相当上手で聞いていて楽しい。

 

爆笑問題は兼ねてから「ラジオで笑いが取れる芸人で居たい」と語っていて、随所にラジオ愛が伝わってくるのが良い。リスナーとしてついていきたい気持ちになる。そして、二人の声の聞き分けやすさも耳に心地よい。

 

3.

 爆笑問題の凄いところは、ファンそれぞれに「Myベスト爆笑問題」があるところだと思う。

ある人にとっては書籍『日本原論』かもしれないし、『爆チュー問題』かもしれない。

その表現と対象世代の幅の広さと、時事ネタというある意味移り変わって鮮度が落ちていく運命の、水モノを題材にしているにも関わらず、今見ても十分面白いところが凄い。

 

 自分は、きっかけになった『きょうのジョー』あるいは2005年ぐらいまでの漫才がMyベスト。

『号外!!爆笑大問題』のエンディングにやっていた、テーマについて太田さんが一人語りをする「コラム」のコーナーも、大人になった今見直すと内容もわかってめちゃくちゃ面白かった。

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ラジオもいまだに好きだから選び切れなさがある。

 

 近年の太田光はつまらなくなったとかうざいとか、視聴者のみならず共演者にも言われている。

個人的にも、2005年ぐらいまでのボソッと必要なことだけ発言して外さず必ず笑いを取る太田光が好きで、今でもその天才のオーラをまとっているイメージがあるので、残念に思うことがある。

だが、最近見た記事では、つまらないことを言いまくるようになったのにも理由があるらしい。

要約すると、ザッピングされるテレビというメディアで、たくさん玉を打ってあたるやつがあたればいい、という考えらしい。

爆笑問題はなぜ“つまらない”ボケを繰り返すのか? 太田光の「テレビ論」(てれびのスキマ) - 個人 - Yahoo!ニュース

考えがあってずっとやってることだから、ファンが何か言えることじゃないのかもしれないと思う。

漫才だけは以前のさらっとした感じに戻って欲しいと心の何処かでは願っている。

 

 今後もラジオを聞いていくだろうし、爆笑問題が常にどこかでなんかやってる状態にどこか安心感を感じているので、これからもなるべくそういう状態であってほしい。

こんなに超スモールラリー遠田みたいなことを言うつもりはなかったのにそうなってしまった。

 

 最後に、ラジオで「田中が好きな果物1位が桃で2位がメロンなのがおかしい」と太田がいちゃもんをつけて言い合いになる『桃メロン紛争』が好きなので聞いてみてください。

何年かに一回ずつ、何回もやってるし、いつもお互い本気で言って全く譲らないから一回も結論着いたことないのに毎回ウケちゃう。毎回同じ話なのに、「はじまったよ~」って呆れながら結局笑っちゃう。

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