029 ◯◯パーティーが好き (後編)

(↓前編からの続きです)

028 ◯◯パーティーが好き (前編) - やなせ京ノ介の好きなことを好きなだけ話すブログ

 

『好きなパーティー・二度とやりたくないパーティー』(後編)

 

3.

 おこなってきた◯◯パーティーの中でも、数年前に行われた闇鍋パーティーは最もおぞましい夜だった。

ここから尾籠な話で汚い内容になることを先に断っておく。

 

 たしかそれは僕が提案して、普通の鍋と同時開催で9人ぐらいの闇鍋パーティーをやろうということになった。

まず100均で、それぞれの参加者に目撃されないように完全シークレットで、闇鍋の具材を一人2品ずつ選んだ。

そもそも100均が具材選びのフィールドになっている時点で、まともなものは食わせてもらえないのだろうな、という諦めの気持ちが皆に広がり、その直後にはその気持ちが「諦め」からそれぞれの「決意」に変わり、皆それぞれに自らの(闇鍋的に)素晴らしいと思う具材を選んだ。

 

 その後、同時開催される普通の鍋パーティーのために、普通のスーパーで普通の具材を買ったのだが、皆「自分の選んだ闇鍋の具材がこれぐらいヤバイってことはみんなもきっとこれぐらいヤバイ」と、暗黙の了解で察したのか、

普通の鍋のほうの具材はいつも以上に普通でオーソドックスに美味そうなものばかり選んでいた。セーフティーネットを張りたい気持ちが働いたのだ。

 

 闇鍋は後輩のカッキーの家で行われた。カッキーは人並み以上に潔癖症だったが、学校から近いということと、潔癖ながらワイワイするのは好きなタイプだったので、このときもカッキーの家が開催地に選ばれた。

 

 部屋の真ん中にお湯を入れた鍋を置き、電気を消して真っ暗にし、一人ひとり100均で調達した具材を入れていく。

ガサゴソ…と買い物袋を漁り、外袋を開け、お湯の中に具材がチャポンと入る。それが9人分繰り返された。

 他の参加者は、全くの暗闇で更に目をつぶっている状態のため、音を頼りに具材を予想する他ない。

お湯に入った時の音が、(チャポン…)、なら良いのだが、時々(ドサッ)とか(ジャーッ)とか(カチャ…)(イン…)という音がする。そのたびに参加者たちに動揺が広がり、「カチャって言った…」「今ザーッ!って言ったぞ!!!」と騒ぎになる。怖い気持ち半分&すごく怖い気持ち半分だった。

 

 全員の具材の投入が終わり、円形のテーブルの真ん中に置かれた丸い鍋を9人で囲んで、真っ暗闇の中、一人2つずつ具材をハシでつかみ始める。今思えば、その様子はかなり儀式めいていて、映画『ホーリー・マウンテン』で賢者たちが勢揃いして旅立ちの前にお金を燃やしているシーンのようだ。

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 そしてこの時点でかなりつかみにくい具材も多く、普通に具材から飛び散ったお湯が周りの人にかかって「アチッ!」とかなったりしていた。ホーリー・マウンテンで集まったのは賢者たちだったが、カッキーの部屋に集まったのは、僕含め紛れもない愚者たちであった。

 

 具材が取り皿の中に出揃い、一人ひとり食べ始める、このときも人の噛んだ時の音とそれに伴う感想ぐらいしか聞こえない。

噛んだ瞬間、食感が(サプッ…)となるものや、「(グジュ…)うわ、ゲロの味する!!!」となるものが居た。

僕は、(カチャ…)と(イン…)の2つで、先程の具材投入のときに聞いた音がそのまま頭蓋に響いた。明らかに一般的な食材ではないぐらい、テクスチャはめちゃくちゃ固かった。

そして、ゲロの味はした。泣きそうになった。

 

4.

 皆の阿鼻叫喚の声がこだまする中、電気をつけて具材との対面の時間となった。

 

 僕の(カチャ…)の正体は、西部警察の大門みたいな丸いグラサンだった。

 そして(イン…)の正体は、握力トレーニング用の器具だった。(イン…)はバネが反発するときの音だったのだ。顎の咀嚼力が0.02ぐらいは鍛えられたかも知れない、そもそも100均にあることが驚きだ。

 

 また”基本的にお湯”と定義されていた闇鍋のベースには、誰かがメロン味のゼリーの素と賞味期限切れのインスタント味噌汁を入れていた…これが綯い交ぜになって暖められている感覚が最悪で全ての元凶になっていた。

 

その他あった具材は、軍手(グジュ…の正体)・縄跳び・葛飾北斎のポストカードなど、全く無秩序なものだった。みんながみんな、他人事だと思って選んだ結果むちゃくちゃになってしまった。まるで政治のようだ。(何も知らないけど闇雲な風刺)

 

 混沌とした具材の中に、ボロニアソーセージがあった。「なんだ、普通の具材じゃん」と思われるかも知れないが、端と端が金具で止められてビニールで覆われたまま入っていた。

(↓こういうイメージ)

丸大食品|商品情報

結果として、これも無秩序な世界に一花添えていた。未開封だったので最終的にカッキーが洗って美味しく頂いたそうだ。

 

 具材の種明かしが終わりみんな、最悪だ~~~~~と笑いながら、鍋を丁寧に洗い普通の鍋に移行したのだが、その後も口の中は、ぬくいメロン味のゼリーの素+各々の軍手などの具材味が残る状態のままだった。

 加えて20歳そこそこのメンバーたちによる、無軌道すぎる飲み方も相まって、1時間程度で体調不良者が続出した。

みんな普通に部屋で吐いたり、大竹さんに至っては、自分の吐いたゲロですべって転んだりと無茶苦茶な状態だった。最悪のカートゥーンみたいな展開でめちゃくちゃ笑ってしまった。

 

 カッキーの家はまたも潔癖を保てず、次の日は皆死んだような顔で、地獄を後にしたのだった…

 

 もう二度と闇鍋パーティーはやりたくないが、20代後半Ver.でやったら一体どうなるのか、正直興味はある。もしやるとなったら、またカッキーの家に集結したい。(あの時は本当にゴメン)

 

<完>