074 冷やご飯が好き <上>

『冷やご飯専門店の企画書』(前編)

 

1.

 冷やご飯が好きだ。

正直、炊きたてのご飯より好きで、「ご飯はやっぱり炊きたてじゃなくっちゃ!!」という慣用句にはあまり共感が出来ない。(こんなことばっかり言ってるな)

 

 冷やご飯最大の魅力は、あっつあつのおかずと調和して、口の中でめちゃくちゃいい温度になってくれるところ。

焼き上がったばかりの焼き肉と、冷やご飯の調和を想像してみてくれ。よだれが出まくって、ラフメイカーみたいに部屋の中を洪水にしてしまうでしょう。

炊きたてご飯もいいけれど、やっぱり冷やご飯のマットに、あっつあつの美味しいおかずを沈めたくなる。

 

 その他、体には激烈悪いが「カップ焼きそばと冷やご飯」も良い。

 塩分超高めのできたてカップ焼きそばを、少し硬くなった冷やご飯と絡めて食うと、デンプンが変質した冷やご飯の、米本来の甘みが炊きたてよりも前面に出ている感じと合う。

食い終わった後は、炭水化物の重いパンチを食らって顔がパンパンになっている。少し甘美な後悔を残しつつ、また時々同じ組み合わせで食べたくなる。

 

 個人的に、「チーズささみフライ」がすべてのおかずの中でBEST5に入るぐらい好きだ。

 お惣菜でチーズささみフライを買ってくると、レンジで程よい時間(500Wで40秒、800Wで20秒ぐらい)チンする。ここで加熱しすぎると、お惣菜のフライ特有の、衣がシナっとしてしまう状態に陥りがちなので、サクサクを保ちながらも温かく、程よい時間でチン出来るよう見張ることが大切だ。

 

 そして、サクサクのまま程よく温まったチーズささみフライにかける調味料は「醤油」と決まっている。

 それも、出来れば『キッコーマン しぼりたて生しょうゆ』の金ラベルのやつが望ましい。

サクサクの衣にパンチのある塩分の醤油が絶妙に絡んで、これを冷やご飯と食べると、本当にごちそう中のごちそうである。

昔、これで普通に冷やご飯を1合半ぐらい食べてしまったことがあり、今ではなるべく控えている。たまごっちが食事するときのペースでご飯が減っていった。

それぐらい魔力のある組み合わせだ。

 

 冷やご飯に合うものをあげるとキリがない。みんなもっと冷やご飯の素晴らしさを見直すべきだ、と常々僕は国会議事堂の前で札を持って主張し続けている。一人で。わしゃ奥崎謙三か!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

2.

 少し話は逸れるが、僕が好きなハロー!プロジェクトの元総合プロデューサーである、つんく♂氏の曲には、ご飯絡みのものが多い。

そして、そのほとんどをハロー!プロジェクトメンバーである、10代20代の女性に朗々と歌い上げさせている。

 

 例えばモーニング娘。の『HOW DO YOU LIKE JAPAN? ~日本はどんな感じでっか?~』にこんな一節がある。

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そんなこんなの日本です 義理と人情の日本男児

米がうまいぜ!日本中 お茶を飲め飲め最高茶葉

豊作でええね~ YEAH YEAH YEAH YEAH YEAH YEAH

水がうまいね~ YEAH YEAH YEAH

 

 

 この歌詞で、曲調はファンクロックである。あまりのバランス感覚に頭がクラクラする。

一応のアイドルポップとしてこんなことを歌わせるのは、当時かなりエポックメイキングなことだったのではないかと思う。

 

 更に、Berryz工房の『行け行けモンキーダンス』にこんな一節がある。

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よっしゃ 与も野も 食べましょご飯を 食べましょ日本の お米は 世界で 一番

ティキィ ティキィ ティキィ皆の衆 モンキーダンス モンキーダンス

 

 

 この曲は、PVで当時中高生のメンバーが全身猿のタイツを履いて踊りまくり、タイトルは「モンキーダンス」であり、曲のテーマは「日本のお米の素晴らしさについて」という、ハロプロでも上位の訳の分からなさである。

しかもこれはシングル曲として売り出されている。つんく♂さんの脳内には「米の曲、売れるに決まってるでぇ~!!」みたいな方程式があるのか!?!?

 

そんな無理難題的なこの曲を、ハロプロ随一の個性派集団であるBerryz工房がしっかりとふざけ倒し乗りこなしており、作品として見事に成立しているところが素晴らしい。

 

 最後に、THE ポッシボー(後のチャオベッラチンクエッティ)の『主食=GOHANの唄』というド直球な曲について紹介したい。

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そうね GOHAN食べよう 玄米も3分 5分 8分づき GOHAN (おかわりいくよ!!)

 

 

 PVもいきなり稲穂が揺れている画から始まる。

特にTHEポッシボーが農業をテーマにしたグループだとか、この曲がJAとタイアップした曲だとか、そういう背景もない。

つんく氏がご飯好きだから、ご飯の曲を歌わせたというだけである。

しかもこの曲もシングル曲になっている。やっぱり、「米の曲、売れるに決まってるでぇ~!!」ということなのか!?!?!?

オールディーズ的なリズムパターンと、和楽器の組み合わせ、つんく♂氏直々のコーラスが多用されているあたり、名曲だと思う。

 

 このように、つんく氏にはご飯・米への、並々ならぬこだわりがあり、多作とはいえ、ご飯という題材だけで3曲も作った作曲家は現代でなかなかいないのではいかと思う。

(探したらまだあるかも)

 

 ご飯へのこだわりは本業である作曲だけにとどまらず、後に「ご飯」メインの飲食店をプロデュースするにまで至っている。

www.farmdaichi.com

 

自分で精米歩合を決めて注文したお米を、土鍋から炊きたてで食べられるというシステムだったようだ。一度行ってみたかった。

 

(続きます)