022 柿の種が好き (後編)

(↓前編からの続きです)

021 柿の種が好き (前編) - やなせ京ノ介の好きなことを好きなだけ話すブログ

 

『刺激物との付き合い方(後編)』

 

3.

 元来臆病な性格である僕は、ホラー映画や絶叫マシンと同じ理由で、色々なことを遠ざけたりして逃げたりしてきた自覚がある。それで守られた部分もあるかも知れないが、臆病なせいでずいぶんつまらない思いを沢山してきた。大人としては致命的なぐらいの臆病だったので、ここ数年は臆病を克服しようと色々やってみているつもりだ。

 

 その中で「今まで臆病が故にいろんな行動を遠ざけていた人が、無策・野面で飛び込むにしても、そのための準備は2%ぐらいは要る」ことがわかった。

準備0%で飛び込んでみると、本当にロクな結果にならない上に学ぶこともなかった。これすら臆病を捨てて飛び込んで見なければわからないことだったので、結果的に何も考えず飛び込んでみたことで得たものはあったということになる。

 

 更に、ある程度の準備や下調べは必要ではあるが、それが過剰になり、準備をこじらせすぎて、本番のない「準備のための準備」になることも危険とわかった。

今までは99%ぐらいまで準備して、臆病ゆえに結局行動せず、みたいな、スーパードンキーコング3の『おくびょうエリー』も呆れるほどの臆病っぷりを見せる場面が多々あった。

そして、準備の配分を99%→2~30%ぐらいにして、最後は臆病を一瞬忘れてバカのふりで飛び込んでみる、みたいなバランスが自分には合っていることがわかった。

準備の足りない部分は、やりながら補える。しかも、だいたいが「準備のための準備」をしているときよりも速いスピードで準備が出来て思いつきもある。必要は発明の母とはよく言ったものだ。

 

 長年臆病をやってきたので、やり始めはやっぱりドキドキする、でも飛び込んでみたら案外平気で楽しいし、抱えていた狭い領域が侵されていく感じが良い。

事柄にもよるが、2~30%ぐらいの下調べで、気になったことをなるべくすぐにやる。元来臆病な人間にとっては、この2~30%がジャンプするための踏み切り台の役割をしている。

 

 そうやって色々やることで、自分の体質や精神的に「無理」にあたることはやり続けられないが、「無茶」にあたることなら臆病を捨てることでやり続けられる、ということが少しわかった。(書くに適当な具体的エピソードがなく恐縮ですが)

 

4.

 相変わらず子供時代の些細なことを結構覚えている。

 4歳の頃、柿の種の辛さに病み付きになってしまい、柿の種を頬張りまくって、口の中をMAXカライカライ状態にしておいた後、氷をたくさん入れてキンキンに冷えた水のジョッキをグイグイ飲み干して「クゥ~!!」と叫び机をバンバン叩いていたことを時々思い出す。

その刺激がたまらなく、満足行くまで数回繰り返していた。

その時氷水を運んでくれる係だったばあちゃんが、完全に引いた目で「バカじゃないの」と俺を見おろしていた顔まで覚えている。

 

 そのエピソードからも、元来刺激物やそれに付随する快感に弱く、脳のアドレナリンやドーパミンを受容するところが、一度開いたらストッパーがバカになって開きっぱなしになってしまい「もっと欲しい!もっと欲しい!」となるタイプの人間なのではないかと思う。

柿の種を覚せい剤に持ち替えれば、田代まさし氏のそれだ。依存するのが柿の種で良かった。その後はスラム街で柿の種の売人(亀田製菓の販売員)として生計を立てられる。

 

 と考えれば、臆病ゆえにいままで遠ざけていた、外から見ると面倒そうな事・怖そうな事もきっと柿の種・ホラー映画・バイキングとさほど変わらない。

乗ってみる・見てみるまでが億劫で、怖いイメージがあるかも知れない(柿の種にはそれすらないからよく出来ている)が、乗ってみればきっと絶叫したり感動したり怖がっているうちに終わる。

 

その上で、バイキングでいえば「安全バーがマジで降りないぐらいヤバイ状態の遊園地」≒「体質や精神的に無理にあたる状態」だったら逃げ出せばいい、と思う。「安全バーが降りないヤバイ遊園地だからあそこは行かないようにしよう」と、わかっただけでも行ってみた意味がある。

めちゃくちゃ当たり前のことかも知れないが、臆病だった自分にはかなりしっくり来るたとえを見つけた感があった。

 

 臆病を避けてやってみたことが終わった後はアドレナリン、ドーパミンが出て、元来依存しやすからきっとクセになるはずだ。

人間はデジタルには変化できないので、いきなり0→1とは変化しないが、数年前のほぼ0状態の臆病から、最近は0.7ぐらいまで来れたのでは、と感じる。

 知らない出来事に接するときは、ホラー映画・バイキング、それどころか柿の種ぐらいのつまむ感覚で行けたらいい。

刺激物はそのリハーサル、アーケード版刺激に対しての家庭用刺激だ。これが現在のMy刺激物との付き合い方。

 

<完>