088 Queenが好き (後編)

(↓前回からの続きです)

yanakyo.hatenablog.com

『映画 ボヘミアン・ラプソディを見て』

 

3.

 映画 ボヘミアン・ラプソディを見ていて、そんな風にQueen、特にブライアン・メイが大好きだった時期のことを思い出した。

当時の逸話から再現された、レコーディングシーンの工夫の数々にしびれた!!前身バンド、スマイルの時代からあんなに変わったことしていたなんて…

 

 ウィー・ウィル・ロック・ユーの誕生秘話は知らなかった。

やっぱりブライアンの発想力はすごすぎて鳥肌!!!!!

あのドンドンパッ!のリズムで、みんなこの曲だって分かるもんな…

 

 特に中盤以降から描かれる、フレディの生来的な孤独アレルギー的気質と、退屈との付き合い方を知らないことによって捨て鉢になり、より孤独を深めていく流れ、自分にも心当たりがあるぶん、気持ちがえぐられるように見ていた。

 

 「”家族”として親身に思ってくれるバンドメンバーやメアリー」を一時は捨てて、「才能が生む金銭の流れ目当てで近寄ってきて、放蕩につぐ放蕩の虚しいパーティをする仲間」との付き合いを選んだフレディ。

(劇中での)彼は、破滅スレスレになるまで気づかなかったが、自分は、過去や現在に対して恨み言や弱音を言う前に、すぐ近くにある豊かさに目を向けたり、本当に親身になってくれる人を大切にしようと身につまされた。

 

 メアリーの一言から、足元にある豊かさに気づき、再起を図ってライブエイドに出るまでの流れ。本当に細かい所作に至るまで完全に再現されたライブシーン。

見る人の殆どが同じ感情のうねりを共有できるような丁寧な作りになっている。

 

 個人的に「ラスト◯◯分の衝撃!」「ラスト◯◯分の感動を味わえ!」みたいな映画はあまり好きではない。こういう映画の大半が、その「ラスト◯◯分の衝撃」に機能を集約させていて、間の描写が驚くぐらい雑だったりつじつま合わせだったりするので…

しかし、ボヘミアン・ラプソディのライブシーンは、単なる「”泣ける”機能性」のためのものではなく、それでいて重大な見せ場になっている上に、そのラスト21分に至るまでの描写の積み重ねが丁寧で面白かったので、感動でベタに涙が止まらなかった。

 

4.

 それまで、NHKのドキュメンタリーで見たような「音楽性から割り出す人間性」の範囲でしかQueenのメンバーの人となりを知らなかったが、この映画でフレディと、彼を巡るメンバーたちの苦悩まで知ることが出来た。

 

 一つ、(ボヘミアン・ラプソディをシングルカットすることに反対していた)EMIの重役レイ・フォスター氏や、フレディの個人マネージャーで最後はテレビに出て暴露話をしていた、ポール・プレンター氏あたりが、完膚なきまでに悪役・あるいは無能なやつとして描かれていて、過剰な勧善懲悪感があるのでは?というのが懸念点だった。

事実からどの程度かけ離れているかで見方が変わってくるなあ、と思って少し調べたが、概ね史実どおりのようだ。

その他、フレディがエイズを告白したタイミングの前後など、事実とタイムラインが異なる部分はあるようだが、それも含めて演出の範囲内と個人的には思った。

 

 劇中のキャスト陣によるメンバーの再現が激似だったので、エンディングで本人映像の『Don’t Stop Me Now』が流れたとき「やっぱ似てるな~」と見比べられて二度楽しかった。

そして、エンドロールで『Show Must Go On』が使われていたのは、「映画のフレディの人生を見て、なにか成し遂げた気にならないでよ。あなたの現実の人生は続いていくのだから闘い続けよう」というメッセージのように感じたのですが深読みしすぎでしょうか。深読みだとしても勝手にシビレました。

 

 細かいところでは、冒頭でデビッド・ボウイが名前を呼ばれているシーンがあるが、ボウイの姿は出てこないのと、絶妙なタイミングで『Under Pressure』がかかるのがニクい演出でした。

監督が「ボウイのそっくりさんは絶対出したくなかった」と語っているインタビューを見て納得。

あんなにカッコいい人、そっくりさんでやったら滑稽になること必至!!!!!

 

 公開前にSNSで「俺の方がQueen知ってる」的なマウンティングをいくつか見て残念だな~と思った。あまつさえ日本のベテランミュージシャンさえもが、「Queenが再ブーム?チャンチャラ可笑しい!私は昭和何年の◯◯歳から聞いていて~」みたいなことを書いていて悲しくなった。

 

 この映画はそういうマウンティング無用で、愛を爆発させて素直に見ればいい。フレディのデフォルメ感とかに抵抗を覚える人はいるかもしれないが、描写の丁寧さや構成から、万人にとって読後感のいい作品であることは間違いない。

そして、音響の良い映画館で見るっきゃない作品ですわ!!ソフトで見ると感じ方が違ってしまうかも…

 

 見終わった後は、Spotifyにサントラがあるし、何ならQueenのオリジナルアルバム、ライブ盤まで各種ある!!余韻を楽しむにも十分なライブラリが身近にある現代に感謝。。。今、オリジナルアルバムをもう一周している最中です。『Don’t Stop Me Now』のギターソロ、この世のギターソロの中で一番好きだな…

 

 そんなこんなで長くなりましたが、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の感想でした。

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(おしらせ)

 「ひとまず100日連続更新」をめあてに、10月からやってきたnoteとブログですが、予定通り100記事目で一旦毎日更新をやめて、不定期更新にしようと思ってます!

 

 残り10ちょっとなのですが、「こういう話について書いてほしい」とか「こういう話し聞きたい」みたいなテーマがもしあれば、コメントやラインで送ってくれると嬉しいです。

よろしくお願いします。

 

敬具ー(ピングーみたいでカワイイ。氷のブロック集めて家作ったろか、アシカと一緒に魚食ってソリ乗ったろかって!!)