086 『年末映画』が好き

 昨日、クリスマスということで、U-NEXTで『ホームアローン2』を見た。なんと人生初鑑賞!

みんなが子供の時に金曜ロードショーで見たことある映画だと思うのだが、自分は映画を見る習慣が出来たのが最近なので、はじめて見た。

ついでに言うと、ホームアローン1も去年はじめて見た。なんなら、スターウォーズも、ベストキッドも、インデペンデンスデイも去年。

逆に言えば、まだまだ「見たことがない名作」という余白が多くこの世界に残っているということで、喜ばしいことだ!!

 

 映画をちゃんと好きになってから、年末諸々を収めたあとは、映画を見まくるのが楽しみだ。

 実家に帰っていたときは、居間に大画面のモニターがあったので、そこで好きな映画を見直してジッとしながら、一年間何が出来て・何が出来なかったか、来年はこうしてみよう、と顧みたり、まあどうせ絵図面通りにいかないけど数カ月後のこととかを考える。

 この時間は魂の浄化であり、自分はキリスト教徒ではないが、懺悔室に入って今年のことを滾々と告白しているような気持ちになれて好きだ。

 

 ということで、今回は少しいつもと趣向を変えて『My・年末映画 ベスト3』について、簡単にご紹介したいと思う。なるべくネタバレしないように…

 

●1.『醜聞 <スキャンダル>』 (監督:黒澤明

進気鋭の画家(三船)と美しい声楽家(山口)が偶然出遭ったところを雑誌記者に盗撮される。まったくの醜聞(スキャンダル)に巻き込まれていく二人。物語の舞台はやがて裁判へ……。いたずらに醜聞を追うジャーナリズムを糾弾する一方で、後半は志村喬演じる弁護士の心情・行動が焦点となっていく。

- 映画.comより

醜聞 スキャンダル : 作品情報 - 映画.com

 

 

 黒澤映画の中でも上位に好きな作品。

 裁判を前に、自らの感情的な行動から孤立無援となり、困り果てた三船の元に、志村喬演じる弁護士蛭田がやってきて、裁判のバックアップをしてくれる…はずだったが、蛭田の心の弱さから起こるトラブルでスムーズに裁判が進まない、というのが後半のメインシーケンス。

 

 「”人の心の弱さ”との付き合い方」という普遍的なテーマの中で、「まったく人間の感情はよくわからない」という、滑稽で時に悲しい描写が繰り返され、羅生門のラストにも通ずる「それでも人を信じたい」という黒澤ヒューマニズムも炸裂…それらが104分という短い時間の中にパンパンにつまっていて最高。

かといって全体が重く説教臭いわけじゃなく、笑えるシーンや、美しすぎるシーンが満載。だから黒澤映画は古びない!

 

 年末映画ポイント:

  • 裁判が始まる以前に、クリスマスのシーンがあるのですが、その冒頭の三船敏郎の登場から洒脱すぎて驚きます。白黒映画なんだけど、クリスマスカラーに見える!!これはマジで!!!嘘だと思ったら一度見てみて!!!
    歌のシーン、志村喬の戸惑い顔との対比も含めて美しすぎる…
  • その後の酒場のシーン、左卜全演じるベロベロの酔っぱらいが、今年一年を振り返っての演説をするんですが、ここがまさに「正調・年末映画」感があって染みる。
    自らの一年をこのセリフに重ねてしまう。はじめて見た時は、このシーンで感情が溢れて、気づくと涙が流れていました。何故泣いているのか自分でも説明できなかった、そんな不思議な体験。

___

●2.『駅 - Station -』 (監督:降旗康男

オリンピックの射撃選手であり、警察官でもある一人の男と、事件を通して彼の心を通り過ぎていく女たちを描く。

- 映画.comより

駅/STATION : 作品情報 - 映画.com

 

 

年末映画ポイント:

  • 自分は北海道の田舎町出身なのですが、この映画の終盤はまさに「1979年の北海道の田舎町の大晦日」が舞台。
    どこも仕事納めになって、町が静まり返り、人はまばらで、道路にはうず高く雪が積まれている…という様子が、実家の大晦日の風景とリンクして、その同期性に、一つ一つの描写が心の深くまで染み渡る。

 

  • 高倉健さん演じる刑事と、倍賞千恵子さん演じる居酒屋店主が、カウンターだけの店で交わす会話・演技の自然な奥ゆかしさ、小さなテレビから流れる紅白歌合戦の『舟歌 / 八代亜紀』…そんな時代には生まれていないはずなのに、日本人の心の奥底にある「日本人のわびさびDNA」みたいなものがうずきだし、心の芯までうら寂しい気持ちになる。これがたまんないです。

 

  • 札幌に住んでいたので、昔の札幌市街の様子を見て、すすきのこんな感じだったんだという資料的価値もあります。

 

  • 終盤、取り調べのシーンでの倍賞千恵子さんの、諦念や寂しさや行き場のない感情が綯い交ぜになった涙が素晴らしい。
    今年、万引き家族を見て、安藤サクラさんの涙に感動すると同時に、この映画の倍賞千恵子さんの涙を思い出しました。

 

  • 高倉健がバチゴリにカッコいい。

___

●3.『ダイ・ハード』(監督:ジョン・マクティアナン

テロリストによって日本商社の高層ビルが乗っ取られるという事件に、偶然巻き込まれた1人の刑事の活躍と戦いを描くスペクタクル映画。

ダイ・ハード : 作品情報 - 映画.com

 

 

 大切な映画とか、考え方が変わった映画とかあるけど、こと「面白い映画」ということではダイ・ハード1が自分の中でNo.1です。

リドリー・スコットばりのシックなライティングや、やべー展開満載のアクションがカッコいい。

登場人物の関係性すべてが上手く絡み合って壮大なアンジャッシュのコントのよう。(この表現は半分合ってて半分間違ってる)

 

年末映画ポイント:

  • 毎回毎回年末に、ついてなさ過ぎだ!!!!!マクレーン!!!!!!!!!!!!!!!!!
    『ついてない日の応援歌』を歌っていた、(ハイパーMAXXXXXXXXX最強一発屋の)ダニエル・パウダーでも、マクレーン刑事のことは励ませないことだろう。ま、励まさなくても、ブルース・ウイリスはシリーズを重ねていくごとにハゲ増していくけどね!!!!!!!!!(59歳のダジャレセンス!!!!!!!!!!!!!!!)

 

  • こんなについていないマクレーン刑事を見て、自分の一年、ここまでついてないことはなかったなと思える。
    そして、もし来年これぐらいついていない一年でもマクレーンばりの執念で乗り切ってやるゼ!!!!!!!!と思える。日頃から、気分はいつもナカトミ商事!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!でいれば大抵のことはなんとかなりそう。

 

  • 絶対日本語吹き替え版で見てほしい。見たことあっても改めて見てほしい。顔ブルース・ウイリスなのにめちゃくちゃべらんめえ口調!!!
    高所から下を見て「すくむぜェ…」って!!!!!!!!!本当に日本人の粋なオヤジに見える!!!!!

 

  • 最後の最後のホリー、最高!!!!!あのシーン見ると、「イェー~」って低めの声で歓声あげちゃうね。

 

 以上、『My・年末映画ベスト3』でした。

 

 ダイ・ハードシリーズと、醜聞<スキャンダルは>U-NEXTの見放題で見ることが出来ます。

ただ、黒澤映画はフィルムの状態からか、日本語字幕がないとセリフが聞き取りにくいところがあり、U-NEXTには字幕がないので、セリフを逃さないためにはDVDがオススメです。

駅 -Station-は、Amazonプライムに、有料レンタルですがありました。

 

今年の年末、VODやレンタルでこの3本を見てみてはいかがでしょうか。見たら感想話しましょう!!!