040 席替えが好き(後編)
(↓昨日からの続きです)
『Mr.席替え』(後編)
4.
中2ぐらいになると、席替えで好きな女子の隣になれるか、を前日に川口くんと話し合っていた記憶がある。
好きな女子の隣の席になれただけで毎日めちゃくちゃ学校行きたくてしゃーなかった。これが席替えの最大の魔力であり、魅力であると思う。
職場によっては大人になっても席替えはあるかもしれないが、もう「ドキドキする席替え」は訪れることがないように思う。
23歳の頃働いていたコールセンターは、毎日席がランダムで決められていて、クジさえ引かないものの毎日が席替え状態だった。全く知らない人と話すきっかけになって良かった。
年齢層が高く、おばさんが多い職場だったので、自分の息子のようにみんな親しく接してくれたし、時には普通に友達同士のようにみんなで飲みに行ったりして楽しかった。
しかしその中に「本当に恋愛対象的な意味で」若い男が好きなおばさんが居て、皆に恐れられていた。
清潔感があり知的な麻木久仁子さんのようなおばさんであれば素敵なのだが、そんな末端も末端のコールセンターに麻木久仁子さんがいるわけがない。専ら、Qさまの収録で城の名前の難易度高いやつを答えて「Fine Play」とテロップを出されることに忙しい。
コールセンターに居たそのおばさんは、いつもいつも見る度に鼻クソをほじっているような人だったし、若い男にハラスメント行為をするので、その人の近くの席になった若い男が餌食になってどんどん職場を辞めていき、裏でちょっとした問題になっていた。逆木久仁子さんである。
席を決めている管理者の人とも仲が良かったので、その噂を聞いた日から「申し訳ないけど出来れば、あの人とは離してください…」と懇願していた。
「いつかあの人の隣になるかもしれない…」という、”金田一とかで殺人犯が紛れている旅館で、次に自分が殺しの対象になりやしないか”みたいなドキドキを毎日抱えていた。俺がしたいのはこういうドキドキじゃないんだ。
ある時、仲良くなった職場の男友達が、そのおばさんに腕をぎゅーっと掴まれて(鼻クソほじった手で)、顔を腕にスリスリされながら「今度私の作ったからあげ食べる!?!?」と至近距離の上目遣いで言われていた。
「いつか俺もこういう目にあうのか…」と思うと、死を待つような気分になり、地獄みたいな顔になってしまった。
その地獄の顔に気づいた仲いいおばさんたちに「辞めないでね!!」と予測引き止めをされた。それぐらい、このおばさんによる若い男への執拗なボディータッチなどの前例は、自分が入社する前から続いていたらしい。
友達はトラウマになったのか、割りとすぐに辞めてしまった。
俺も、別にこれが怖かったからじゃないが、数カ月後にこの職場は辞めた。最後までみんなは優しかった。このおばさんも含めて。
5.
金田一の「殺人事件があった旅館のある島が嵐で、船も欠航、島から脱出できる唯一の橋も封鎖している。あと2日もここで過ごさなきゃいけないのかよ!」みたいなドキドキじゃなく、学生のときのあの感覚を思い出せる席替えをしたい。そんな気持ちが、世の男性の大多数にあるはずと思っている。
あの席替えは、合コンの席替えとかとも違うから、大人になってからしようと思ってもなかなか難しい。
「あの席替えのドキドキ感を思い出せるガールズバーやキャバクラ」を運営したらビジネスチャンスあるかな、とちょっと考えている。
たまたま入店した順でクラスの端と端でじゃんけんするところから始めさせる。負けたやつが罵倒されたり、勝ったやつがバーフバリばりの称賛を受けるところまで完全再現。(結局このダジャレ言っちゃった。小3だけに)
ちゃんと視力の悪い子が自己申告で前に行くくだりもやる。好きな子が視力の悪い子だったら、「前の席を引かなきゃいけない」という使命感を思い出すきっかけになってリアリティが増すかも。
席を交換しようとして交渉しているやつらの不正は、担任の先生(黒服)が容赦なく叱ります!!!というコンセプトバー。どうでしょう。
これただの大規模でライトなイメクラになりかねないですね。却下ですかね。
これを元に良い案思いついた人、僕と一緒にお店をやりましょう!!!明日の日本はワシらのもんじゃい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
<完>