060 あだ名が好き(後編)
(↓前回からの続きです)
『しっくりこない呼び名たち』(後編)
3.
呼び名の話から遠く離れてしまったが、自分は、やなせというそんなに多くはいない苗字なので、友達や知り合いからも普通に「やなせ」と呼ばれることが多い。時々下の名前で呼ばれたり、変わった呼び名でせいぜい「やなちゃん」ぐらいである。
そんな”本名人生”のため、結構あだ名に飢えているところがある。
その”本名人生”で”あだ名飢餓人生”のはじまりは、同じく、ポケモンをやっていた小2の頃だった。
前述の通り、ポケモンで「ニックネーム」という制度を知り、自分もニックネームが欲しくなった僕は、体育館での全校集会の前に、背の順で僕のうしろだった、たけし君にあだ名を付けてくれ!と無理矢理迫った。
凄い勢いの僕と、もうすぐ始まりそうな全校集会のタイムリミットに、困惑しながらたけし君が無理矢理ひねり出したあだ名は、『うんち君』だった。
まさかあの、乱獲して雑に放出させたオニスズメと同じような運命をたどるとは。「うんち」と「うんこ」の差はあるにしろ、少なからずショックだった。どうでもいいけど”『うんち君』をひねり出した”って表現はあまりにも汚い。
僕の初・あだ名『うんち君』は一切浸透しないまま終わった。むしろ自分でもみ消した。
一応断っておくと、学校で漏らしたりした経験があってこういう名前になった、わけではなく、小学二年生のセンスの引き出しの手前にうんこ・うんちがあるのだろう。
うんち君の次のあだ名は、だいぶ時を経て名付けられることになる。
高校1年生で寮に移住した当初、友達を作ろうと色んな人達に自己紹介する中で「ここで何かかましてウケを取らなきゃ」と考えた僕は、
「パナマから来た留学生です。仲良くシテクダサイ」とカタコトの日本語で自己紹介をした。
高1なりの精一杯のボケだったように思う。そして意外なことに結構ウケた。
その後普通の自己紹介をしたが、そのボケのせいで、誰も覚えてくれず、そこから僕は『パナマ』と呼ばれるようになった。
ただの思いつきで言ったボケだったので、もちろん国のパナマについて何の知識もない。
そして、何のゆかりもないのに、その1ボケの設定のせいで、会話の中でパナマ関連のフリをいっぱいされてしまうことになった。
みんながパナマ運河についての質問をしてくるが、世間知らずだった僕はパナマ運河すら知らなかったから、その後のボケも芳しくない。申し訳ないからちょっとパナマについて色々調べたりしていた。
そんな無駄な努力に徐々に嫌気が差してきて、結局近しい人から順に「本名で呼んでくれ」と言うようになった。
4.
あだ名に憧れてはいたが、あだ名を付けられたら付けられたで、それにまつわる諸々のくだりで面倒になってしまうので、あだ名に向いていないのかもしれない。そんなこんなで結局本名人生に帰ってくる。
それでも、付けられた数少ないあだ名の中で気に入っているのは、前職のときにチームで呼ばれていた『やなまん』だ。付けた人が早々に辞めてしまったので、理由はわからないけど結構定着していたし、桑マン風味が良い。置き引きは幸いにもされたことがない。今のところは。これを見て置き引きをしようとしている人がいたらどうか勘弁してほしい。
最後に”苗字とあだ名あるある”を書いて終わります。
・◯橋、橋◯はだいたいハッシー
・◯松、松◯はだいたいまっちゃんかまっつん
・◯崎もザッキーだが、山崎だけはアンタッチャブル山崎氏の影響でザキヤマ
・二文字の苗字はだいたい「(苗字)ちゃん」(みとちゃん、小野ちゃん)
・阿部は全員あべちゃん
・沖縄県は8割島袋
・佐藤や高橋は大体下の名前で呼ばれる
・富◯はトミー
薄っす!!!!!!!!!!!!!
<完>