083 トッピングが好き

『十人十色 好きなら問題ない』

 

1.

 先日、阿佐ヶ谷を散歩していて、途中トイレに立ち寄ったコンビニで飲み物を買った。

 

 時間は昼メシどきだった。

 レジで、前に並んでいた20代後半~30代前半ぐらいの男性が買っていたものを何気なく見ると、

 

 

というラインナップが並べられていた。

 

 この組み合わせに驚いた。

 これどう考えても食べ合わせ悪くない!?

人の食の趣味についてとやかく言うことがよっぽど悪趣味だが、それでもこの組み合わせには疑問を抱かざるをえなかった。

 

 まず、豚キムチラーメンと、おでんという「汁物2種」がある点。あんまりカップ麺とインスタント味噌汁を一緒に食うとかない。

そして、この「どちらかというと”和”2種の組み合わせに対して、ベーコンとチーズのパンを一緒に食う」センス。

 

 極めつけは、「飲み物が牛乳」という点!パンはいいとして、豚キムチラーメンを食った後、ましておでんを食った後、どの口にも牛乳が合わない。失礼だが、想像するだけで何となく吐◯◯感が立ち上ってくるのは自分だけだろうか。

 

2.

 ここまで極端な組み合わせをはじめて見て、目について気になってしまったので、コンビニを出て、一緒に歩いていた二人にもその事を話した。

 

 そのリアクションは、二人ともにわかには信じがたいといった様子で、自分の感覚がズレていないことに安心した。ホラー映画で変な村に行きめちゃくちゃ怖い思いをした後、その体験を話して理解してくれた人がいたときの安心感ってこんな感じか。大げさか?大げさだな。

 

 「その組み合わせの何がおかしいか」ということを数分話し続けているうちに、考えれば考えるほど悪趣味なその組み合わせに気味が悪くなり、

ついには「職場の人に頼まれて、二人分の昼食を買ったのではないか」という説が飛び出した。

 

 もしも、二人分の昼食を買ったのが事実だとしても、一人2品だとして

豚キムチラーメン&パン と、 おでん&牛乳」

「おでん&パン と、 豚キムチラーメン&牛乳」

豚キムチラーメン&おでん と、 パン&牛乳」など考えうる組み合わせを探すが、どうしてもおでんが食べ合わせから浮いてしまってパズルが完成しない。

 

 もしくは、分け方が「豚キムチラーメン&パン&牛乳と、おでん」という偏ったものなのだろうか?などいろいろ考えた。

 

 いずれにしても、そのあんちゃんはくすんだ作業着を来ていたので、恐らく肉体労働であると思われる。

肉体労働職のお昼ご飯が、おでんのみというのは心もとないし、午後から力が湧かず頑張れないのではないか!?ということから、この可能性も消えた。

 

 そもそも、この「2人で食うのでは説」も、「”豚キムチラーメン&ベーコンとチーズのパン&おでん&牛乳”なんて悪趣味な組み合わせで食う人がいるなんて信じられない。まともな味覚を持った人だと信じたい」という我々の気持ちから来ている。

 

 その後、「3人で食うのでは説」まで飛び出し

豚キムチラーメンだけの人と、 パン&牛乳の人と、 おでんだけの人」なのではないか

と仮説を立てたが、やっぱり肉体労働した後の昼がおでんだけ!?!?というところのピースがどうしてもハマらない。

やっぱり、ただただ味覚オンチな人だろう…という結論を残して、この話は終了した。

 

 何よりツッコミたかったのは、こんなにおかしな食べ合わせなのに、選んでいたおでんの具が「大根・たまご・ちくわ」と爆裂にオーソドックスだったことだ。

そこも奇妙であれ!!!!!!!!!!!!昔サンクスでやってたチビタのおでんか!!!!!!!!!と思った。

 

3.

 あんちゃんが買っていたラインナップから思い出したのだが、僕は、『エースコック スーパーカップ1.5倍 豚キムチラーメン』を大学時代よく食っていた。

 

 自分は、トッピング大好き人間で、カップ麺にも何かしらのトッピングを、ほぼ必ず加える。

 鍋やカレーを家で作るときも、なるべく自分オリジナルの具材の配分やバランス、調味料の配合を見つけたいタイプなので、食べ物に関しても「チューンナップ出来る」感覚が好きなのかも知れない。

 

 『エースコック スーパーカップ1.5倍 豚キムチラーメン』を作るときのトッピングは、最初は「とろけるチーズを加える」ぐらいだったものが、改良(?)を重ねるうちに、過剰になっていき最終的には

 

  • とろけるチーズ
  • 湯戻しした乾燥ワカメ
  • 大量の乾燥ネギ
  • 溶き卵
  • 納豆
  • 本物のキムチ

が毎回トッピングされていた。

 

 あのデカイカップが毎回なみなみだったし、スープもヌルくなっていたし、そもそも粉末スープが溶けにくくなったりしていた。

それでもこの組み合わせをよくやっていた。

 

 しかも、「ワカメと卵とキムチ、しかも納豆まで入ってるから健康だよ」と周囲にのたまったりしていた。そもそもベースが健康じゃない。「マジックハンドでしか触ってないから痴漢じゃないよ」と言っているようなものだ。

 

 あるとき、このトッピングについて、先輩の順平さんに話すと「俺もやってる!!」と言われてビックリした。

僕が「調子いいとき納豆2パック入れるんですけど、めちゃくちゃウマイですよ」というと、

順平さんは「うわ~(共感で片目をつぶりながら)」と言っていた。

この共感、世界一スモールスケールで意味なしだなと思い返して懐かしくなるが、わかりあえて凄くテンションが上った。

 

 最近は、20代も後半になり、この組み合わせどころか、カップラーメンを食うとわかりやすく具合が悪くなるので、ほとんど食わなくなったが、大学時代は本当に良く食ったものだ。

 

4.

 羽田空港に向かう電車の中で、この豚キムチラーメンへのトッピングのことを、阿佐ヶ谷を歩いていた3人で話した。

 

 そのメンツには順平さんは居なかったので、もちろん誰にも共感を得られなかった。だって、世界中で俺と順平さんしかしていないだろう組み合わせだから。

 

 さっきまであんなに「”豚キムチラーメン&ベーコンとチーズのパン&おでん&牛乳”なんて組み合わせで食う人間がいるなんて信じられない」と語り合っていたにも関わらず、なんてことだ!

そして、自分のもう一つ大好きだった「カップヌードルカレー味にスパイスガン振り+納豆+かつおぶし+とろけるチーズ」の組み合わせも共感を得られなかった。

そもそもみんなカップラーメンにトッピングをしないらしい。

 

 羽田空港につき、夕飯時なのでメシでも食おうとなった。

 さっきまで、高円寺~阿佐ヶ谷あたりの安すぎる飯屋の価格帯を眺めていたこともあって、空港のメシ屋がすべて割高に見えてしまった。(関係ないけど普段割高って言葉聞いたら「パリ・ダカールラリー」って、ダジャレなのかダジャレじゃないのか微妙なことを毎回言ってる)

 

 最終的に、ホットドックをテイクアウトして、コンビニで缶ビールを買って、フリースペースみたいなところで飲もうとなった。

立派で広いテーブルに、ジャンクフードと缶ビール。気分はすぐに宴になった。

 

 そのうち気分が良くなり、マックのポテトを買い足しに行ったり、柿ピーを買い足したり、と完全に宅飲みの様相を呈していた。

気づくと自分は、芋焼酎の小さいペットボトルを持って飲んでおり、大学生の宅飲みか!!というたとえツッコミがバチッとハマるようなロケーションになった。

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 「空港で何やってんだ。空港でこんなん飲むやつ居るのか!?」と自分でも思ったし、ワインの試飲を配っている人に若干奇異な目で見られながらも楽しんだ。

しかも自分は飛行機に乗っていない。友達を送るだけ送って、ほろ酔いでモノレールからの景色を見ながら帰った。

 

 この「空港宅飲み」。気分は宅飲みだけど、出発時間の大きなボードが目の前にあったりと、日常と非日常がクロスオーバーする感じで、年末のささやかな思い出となった。(二度はしないけど…笑)

俺も似たようなことしてるじゃん。誰かから見たら悪趣味かも知れない。

だから、阿佐ヶ谷で見たあのあんちゃんに一瞬でも気持ち悪っと思った自分を、一日のうちに少し恥じた。

 

 あんちゃんよ、思う存分”豚キムチラーメン&ベーコンとチーズのパン&おでん&牛乳”を食ってくれ!!!!!!!!!!!

そしてロバートよ、百万円目指して、笑いを、取れ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(イロモネア)

 

でもやっぱおでんの後の牛乳味を想像すると気持ち悪いな~給食で無理矢理食わされてるんじゃないんだから!!!(ゴメン!!!!!やっぱ我慢できねー!!!)