073 夢の話が好き
『夢を録画しておけば…』
1.
人の夢の話を聞くのが好きだ。
この場合の夢は「俺さあ、いつか大金持ちになって湘南に庭付き一戸建てを持って、そこの庭で2005年ぐらいの小倉優子のモノマネすることなんだよね」という方の夢ではない。
寝る時に見る夢の話を聞くのが結構好きだ。
よく「人の夢の話ほどつまらないものはない」と、あるあるネタ・あるいは一般常識的に語られるのを見るが、本当の本当に全くそんなことは思わない。
立食パーティーの最中に「セロテープって食うものだよね」という常識を振りかざされ、みんなが目の前でリッツにセロテープを乗せて食いだしたような疎外感をいつも感じてしまう。リッツは食うものっていうほうの常識はあんのかい、その世界
夢の話について全くつまらないと感じない。
たしかにつまらない人の夢の話はつまらないけど、それは夢の話に限ったことじゃなくて、そういう人の話は現実の話もつまらないし、話として切り取られていないところの現実もつまらない。(自分は一度棚に上げて言わせてもらう)
むしろ、そのような人は、現実の面白いところに気づくアンテナを持っていないから面白をやり過ごして、つまらないところだけを話として切り取って我々に提供している可能性もある。
ディズニーの短編アニメの雪山の話で、チップとデールのデールが、クルミの中身を捨てて殻を食べていたのと同じだ。
むしろつまらない人の話でも、退屈な現実の話よりは、予測がつかない分つまらない夢の話のほうがまだつまらなくない、と思うのは僕だけだろうか。
2.
夢の話は何でもありだから、という理由で嫌う人がいる。
自分はもともと、漫画的でぶっ飛んでいる支離滅裂寸前の笑いに弱いということもあって、「何でもあり」だからいいんじゃない!といつも思う。
人の夢の話の展開では、ディズニーの短編アニメのドタバタ具合や、トムとジェリーのようなありえない状態が、人が主人公の状態で実現しているところが面白いと感じてしまう。
20代後半にもなっていまだにバカ殿で笑っているような人種なので、スラップスティックなことにとかく弱く、普通に人の夢の話で床をどつきながら笑ってしまうことも年1回ぐらいある。
夢に自分が出てきた報告をされると嬉しいのも僕だけなのだろうか。
この間も、順平さんの夢に僕が出てきたらしい。
僕が取材を受けていて、職業の問いに「読者モデルです」と答え、「雑誌名よろしいですか?」と聞かれて「月刊ムーです」と答えていたそうだ。
UMAも読者モデルを派遣する時代になった。人間界では到底無理だが、UMAの世界であれば自分も、もしかすると読者モデルとしてワンチャンあるのかもしれない。未確認じゃなくてめちゃくちゃ確認されてるけど。
3.
最後に僕の昨日見た夢の話を書く。
旅館みたいなところでAVの撮影があって、AV男優として参加した。
序盤のインタビューシーンを撮り終えたところで、大広間に人が40~50人入ってきて、別の撮影が始まった。パネラーとして自分と女優さんも参加した。
「これ何の撮影なんですか?」と聞くと、自分で見てみなと言われて、手元にあったリモコンを操作すると、SF映画のように、虚空に番組情報が出た。
そこには「沸騰ワード10!5時間SP ヒロミ特集 19:00~23:28」と書いてあった。
「これが終わらないと撮影再開できないから最後までいて欲しい」と言われて、普段絶対に見ないタイプの番組だし5時間スペシャルって…しかもヒロミ特集ってめちゃくちゃ興味ないな、こんなのつきあわされるぐらいだったら帰ったほうがマシと思ったら、女優さんは先に帰っていた。
1秒後には、自分もスキーの直滑降でめちゃくちゃ凄い速度で下山していた。下山した山のふもとでカツカレーを食べた。
…やっぱり夢の話はつまらないのかもしれない、という疑念が湧いてきた。でもここまで書いてしまったので、夢の話は面白い、という立場を崩さないでおく。
そして、さっき上げていた棚から、「つまらない人は~」云々と書いていた自分を降ろして、同じ立場から、あんまりそういうことを言わないように言い聞かせようと思う。
みんなの夢の話も聞かせてください。
本当の本当の最後に、僕が属する、架空のCMソングのユニット、キシリ徹の商品『夢ビデオ』のCMソングを置いておきます。
エロい夢を忘れてしまって悲しいから録画したい、という発想から作られたものです。聞いてみて下さい。